「地域デザインラボ@ちば」で千葉県内の公務員さんたちが取り組んでいる「デザイン思考」って、なんだろう? (後編)

  

こんばんは。

 

ヒノデダッズムの藤山です。

 

遠回りな話から入ります。

 

このサイトでは、自分の心の中で「職業人としての自分」を前に出した「フジヤマジロウ」と、「お父さんとしての自分」を前に出した「僕」というブロガーが、それぞれのフィーリングで意見やエピソードを残したり、お互いに話し合うという体でエントリーを重ねています。

 

人の心の中には様々な「自分」がいて、時に励まし合ったり、時に葛藤を続けながら生きていると思うわけです。

 

子育て中のお父さんだってそうですよね。家族のために頑張りたいと思う自分、仕事で頑張りたいと思う自分、趣味を楽しみたいと思う自分。

 

たくさんの自分が心の中にあって、それらが前向きに自分を進めてくれることも、後ろ向きに自分を追い詰めてしまうこともあって、喜んだり悩んだりしながら毎日を生きているんだなと感じます。

 

今回のエントリーでは、「フジヤマジロウ」でもなく、「僕」でもない、全体としての自分という形で真剣に書き進めたいと思います。

 

自分たちが生活する大切な街の話ですからね。

 

さて、このブログエントリーのシリーズは、千葉県内の自治体の職員さんたちが「地域デザインラボ@ちば」という自主研究グループを立ち上げたこと、そして、そのグループの中に浦安市の職員さん(チームウラシマのリーダー)も参加していることを知って書き始めました。

 

自治体職員のオフサイトの活動によくあるパーティっぽい感じがなくて、謙虚で、真摯で、本当に素晴らしい取り組みですね。

  

「地域デザインラボ@ちば」で千葉県内の公務員さんたちが取り組んでいる「デザイン思考」って、なんだろう? (前編)

  

「地域デザインラボ@ちば」で千葉県内の公務員さんたちが取り組んでいる「デザイン思考」って、なんだろう? (中編)

 

感じたことや考えたことは前編と中編の中に納まってしまった感がありまして、「あとがき」のような感じで背景などを書き添えてみたいと思います。

 

このサイトで色々なテーマについてエントリーを書いているのですが、このような地方行政のお話はアクセスが集まりません。

 

自分たちが生活している街のことなので、大切なことだと思うのですが、保護者世代の関心というのはもっと目の前というか、もっと個人的なところにあるのでしょうね。

 

例えば、うちのサイトではシラミの駆除についてのエントリーがいくつかあって、プールとかハロウィンとか、そういった子供たちのイベントがある時期にはアクセス数が高くなります。

 

子供たちがプールの後にタオルを一緒に使ってしまったり、ハロウィンの仮装の帽子を交換してシラミがうつって、どうしようかと慌てたお母さんやお父さんが、とにかくググってみるとヒノデダッズムのサイトがヒットするからだと思います。

 

で、シラミについての欲しい情報をゲットしたら、感謝のメッセージなんて送ることもなく、他のページを見ることもなく、さっさとサイトを去ってしまいます。

 

それと、お父さんたちの趣味の一つ、ロードバイクについてのエントリーもアクセス数が高いです。ロードバイクの場合には、お父さんたちからレスポンスがあって嬉しいですけれどね。

 

そういえば、以前、「浦安市内の保育園探しのコツ」というテーマでエントリーを書いたことがありました。

 

浦安市に限ったことではないのですが、私なりの経験を元に考えますと、街の保育行政の特徴を分析して、どのような利用調整点のパターンがあって、どうすれば確実に認可保育園に子供を預けることができるかというルートが見えてきます。そのルートを紹介したことがあったんです。

 

「なにそれ! 教えてよ!」という気持ちのママさんやパパさんがおられると思いますが、実際に猛烈な勢いでアクセスが増えました。

 

しかし、市内の他の地区から日の出保育園にやってきた保護者たちが、子供の送迎の時の路上駐車を繰り返して近隣住民の皆様に迷惑をかけたり、保護者同士でプレッシャーをかけたり、そういったトラブルがあったので、何だか空しくなってエントリーを閉じることにしました。

 

では、浦安市という街の行政についてエントリーを書くとどうなるかと言いますと...アクセス解析の結果を眺めた限りでは、ほとんどの保護者世代がそういったテーマに関心がないようです。

 

アクセスしてもすぐに別のページに移動したり、トップページでタイトルだけを見て素通りとか。

 

浦安市に限ったことではないですが、自分たちに直接的に関係するような話題には関心を示しても、間接的に関係するような話題には関心を持たないような感じがあって、それもこの街の現状なんだろうなと思ったりもします。

 

こうやって浦安市内での生活について情報を分析していると、普通に生活しているだけでは知りえない情報が入ってくることもあります。心にグッとくることも、顔をしかめたくなることも。

 

どんな人にだって長所と短所があって、街についても同じだと思います。どんな街にだって長所と短所があって、それが自然の姿なんだと、むしろ安心するような気持ちになる時さえあります。

 

この街についてディープな情報を集め続けたのは、誰かと戦ったり、誰かを導いたりするためのものではなくて、私の好奇心が背景にありました。

 

また、集めた情報を元にこの街がどのような現状で、これからどの方向に進んでいこうとしているのか、そういったことを考えてみたいと思いました。

 

私が浦安の行政に関心を持つようになったのは、市内の政治が何とかとか、地域振興が何とかとか、PTAが何とかとか、そういったことがきっかけではありません。

 

2011年3月11日。

 

東北地方太平洋沖地震による東日本大震災において、浦安市は液状化による甚大な被害を受けました。

 

すでに長い年月が経ち、液状化を経験していない若い夫婦も多くなってきました。私は今でも、都内の職場から歩いて浦安まで帰ってきて、言葉を失った瞬間のことを鮮やかに覚えています。

 

朝、出勤する時には普段と同じ街の姿でした。人が生活していて何をもって幸せなのかは人それぞれだと思いますが、平凡な毎日だって大切なことだと思うのです。

 

しかし、一生懸命に歩いて帰ってきた時、暗い夜の中で目の前に広がっていたのは、悪夢を見ているかのように崩壊した新浦安の姿でした。

 

ガスや水道というライフラインが寸断されて厳しい数日を過ごしていたら、団地の前にたくさんの引っ越し業者のトラックが止まっていたりもしました。

 

この街に見切りをつけて市外に転出していく人たちでした。

 

ここまで厳しいダメージを受けた街が元通りになるまで、一体、どれくらいの時間と予算が必要なのだろうか。

 

そういったことを落ち着いて考えている余裕もなく、とにかく毎日が精一杯でした。

 

浦安が液状化を受けても、「あの、私、被災者です」と言いながら職場でシャワーを使って仕事をしていました。だって、23区の中はほとんどダメージがありませんでしたよね。

 

しかも、当時、授乳中の子供を育てていましたから、原子力発電所での事故がどれくらい影響するのだろうか、飲料水や食材はどうすればいいのだろうかと、本当に大変でした。

 

しかしながら、そのような苦難が街にやってきても、地域住民を支えながら懸命に街を守り抜こうとした人たちがいました。

 

浦安市の職員さんたちです。

 

市役所の中の人たち。公民館や市立保育園の職員さんたち。

 

これだけ大きなダメージを受けた状態では、浦安市の力だけで街を復旧させることが困難でした。マンホールが地面から飛び出ているような状態でしたからね。

 

すると、浦安市を救おうとして、東京都や周辺自治体の職員さんたちも助けに来てくれました。

 

街のために必死に働いてくださった自治体の職員さんたちは、まさにヒーローでした。

 

昼夜を問わず続けられた復旧作業の中で、私にはとても不思議に感じられることがありました。

 

ここまで広範囲に街がダメージを受けているのに、浦安市役所が情報を把握するスピードが異様に速いと感じたのです。

 

給水所や仮設トイレの設置、水道管やガス管の復旧などは人の手で対応しなくてはならなかったので、時間がかかりましたが、情報を集めて関係各所に伝達するスピードが尋常ではないと思いました。

 

まるで、センサーを積んだたくさんの鳥たちが、浦安市の上空を飛んで情報を集めているような感じでした。

 

それぞれの対応に必要な作業時間を大まかに見積もって計算したのですが、会議や電話で情報を伝達して、その内容を白地図や電子地図に書き込んで分析していたら、情報が錯綜して、このスピードで情報を処理できるはずがないのです。

 

大震災からしばらく経って、私は、浦安市が地理情報システム(GIS)というコンピューターシステムを駆使して被害箇所を把握したり、復旧作業に必要な情報を伝達していたことを知りました。

 

つまり、ちょっと気持ちをこめて熱く語りますと、浦安市のデータをGISにリアルタイムで集積させて、コンピューターネットワーク上に「街」を浮かび上がらせて、復旧活動に必要な情報を分析していたのです。

 

浦安市内の水道管とかガス管とか様々なデータをGISの中に地道に集めていたからこそ、また、緊迫した状況でデジタル技術を活用しようと考えたからこそ、このような対応が実現できたのでしょうね。

 

「そうか、だから、情報の把握や分析が異様に速かったのか」と納得し、浦安市民として何だか誇らしい気持ちになりました。

 

少し時間が前後しますが、ほら、基礎自治体のレベルだと、千葉市がGISをベースにして「ちばレポ」という街の不具合を分析したり報告するシステムを立ち上げていますよね。

 

もちろん、ちばレポというシステムは素晴らしいと思うのですが、浦安市の関係者がその取り組みをICTの先進的な取り組みのように指摘するのは、何だか違うと思います。

 

浦安市のGISの技術は、千葉市どころか全国の自治体の中でもトップレベルなんですよ。

 

決して誇張したわけではなくて、東日本大震災があった時には、浦安市の上空を特別な航空機が飛んでいました。

 

その航空機にはレーザースキャナが搭載されていて、地面に向かってレーザー光を照射し、そこから反射してくるレーザー光を元に地形のデータを収集していました。

 

浦安市の情報政策課などのチームは、航空レーザー測量という技術によって得られたデータに基づいて、液状化の前後で地盤がどのように変動したのかを調べていたわけです。

 

そして、得られたG空間情報をGISに取り込んで、浦安市がどのような液状化の被害を受けていたのかを分析して、これからどうやって街の姿を取り戻すかを検討していたんですよ。

 

すごくないですか? 街にゴミが落ちているとか、看板が壊れているとか、そういった対応にGISを使うのも便利だとは思うのですが、浦安市の場合には、街が崩壊するくらいの液状化の被害に対して、GISという情報技術を使って真っ向勝負をしたんですから。

 

自然災害への対応においてGISを実戦投入した自治体は全国でも珍しくて、浦安市の取り組みはとても大切な先駆けになりました。

 

浦安市の行政について関心がない市民から見れば、「へぇ、そうなんだ」くらいのリアクションかもしれませんが、情報分野の活躍がなかったら、新浦安の多くの人たちが、あと数週間くらい長めに仮設トイレやペットシートで用を足していたかもしれません。

 

その間、もっとたくさんの人たちが市外に引っ越してしまったかもしれませんし、それ以上に、復旧活動の現場は大混乱だったと思います。

 

なので、浦安市のGISは、日本全国のレベルで高い評価と関心を集めることになり、しばらくの間、GISの担当者の職員さんたちは、様々なセミナーや研修会で引っ張りだこになっていました。

 

自治体の生き残りだとか、そういった話を耳にしますが、優れた取り組みを他の自治体で共有することは何ら間違ったことではないですからね。

 

そうそう、東日本大震災の液状化において、浦安市が活用した情報技術はGISだけではありません。

 

震災がやってくる前に「ハイブリッドクラウド」というコンピューターシステムが構築されていたことは、とても大きかったと思います。

 

詳しく話すと長くなるので端折りますが、ハイブリッドクラウドというのは、パブリッククラウドとプライベートクラウドを組み合わせたシステムです。

 

想像もしたくないのですが、大型地震がやってきて職員が市庁舎の中のサーバをメンテナンスする余裕がなくなっても、さらには市庁舎が全壊したとしても、浦安市民の大切な情報の多くは守られます。

 

なぜなら、浦安市の情報はクラウド上に存在していて、専門の人たちがその情報を守っていて、毎日、バックアップが用意されているからなんです。

 

東日本大震災の時には、市庁舎内で担当課の枠を越えて情報を共有したり、分析する必要がありました。その時にもハイブリッドクラウドをベースとしたシステムが使われていました。

 

また、浦安市を救うために、他の自治体の職員さんたちが助けに来てくれましたが、浦安市役所が用意している情報端末、要はノートパソコンやタブレットだけでは全く足りませんでした。普段から余分な端末を買って蓄えておいたりしませんから。

 

他の自治体から助けに来てくださった職員さんたちにも普段の仕事がありますから、余裕があるわけじゃないです。

 

なので、一刻も早く新しい端末を買ってくる必要があったのですが、ヤマダ電機やケーズデンキでノートパソコンを買ってきて、最初からソフトウェアを携帯端末にインストールしていたら、何日かかるか分かりません。

 

そこで、浦安市はどのように対応したのかというと、ハイブリッドクラウド上に仮想環境を用意したわけです。

 

そうすれば、情報端末をハイブリッドクラウドに繋ぐだけで、浦安市のシステムを使えるようになります。

 

公開されている情報だけを読んだ限りではそういった対応だと思ったわけですが、すごいと思いました。

 

マンホールが竹の子のように生えている危機的な状況で、よくぞそこまで落ち着いて機転を利かせることができたなと。

 

当時、企業ならともかく、基礎自治体においてハイブリッドクラウドを配備した例がほとんどありませんでした。東京の23区よりも導入が早かったんじゃないでしょうかね。

 

浦安市のハイブリッドクラウドって、別に市役所の職員さんたちだけじゃなくて、私たち、いや、浦安の子供たちだって使っていますよ。

 

ほら、保護者が子供たちを市立保育園に送迎する時や、小学生たちが児童育成クラブに通って、窓口のセンサーにカードを近づけて、「ピッ!」とやるでしょ?

 

あの情報というのは浦安市のハイブリッドクラウドに送られていて、子供たちの安全に貢献しているんです。

 

そして、浦安市役所だけじゃなくて、全国の市役所の若手の職員さんたちの心にグッとくるかもしれないのですが...

 

液状化で浦安の街が崩壊した時、GISを使って情報面から復旧に貢献した職員は誰なのか?

 

浦安市において、ハイブリッドクラウドによるコンピューターシステムを考案した職員は誰なのか?

 

その職員が、チームウラシマのリーダーなんです。

 

現時点では市民税課の課長補佐の小泉さんという方なのですが、当時は情報政策課のヒラ...いや、主任くらいだったのかな。

 

彼は、ヒノデダッズムのサイトで「チームウラシマのリーダー」という名前でよく登場します。一度、彼の実名を出そうかと思って尋ねたんです。

 

けれど、それは彼の本意ではないということで、名前を伏せることにしました。彼も、ご自身の名前を前に出さずに「チームウラシマ」という名前を前に出しますよね。

 

「浦安市の情報分野の事業やチームウラシマの取り組みは、私ひとりで成し遂げられたわけではありません。たくさんの市職員や支援者の方々と一緒に取り組んできました」という意味なんです。

 

【浦安市 小泉和久氏インタビュー】

https://www.holg.jp/interview/koizumikazuhisa/

 

地方自治体を応援するメディア|Heroes of Local Government

https://www.holg.jp/

 

それと、彼らの取り組みというのは、決して絵に描いた餅ではなくて、着実に成果を出しています。

 

先のリンクの記事をご覧になると分かるのですが、情報分野を中心としたコストの削減の規模は何百万円というレベルではなくて、何千万円、もう少しで億に届くくらいです。

 

さらに、チームウラシマが中心となって取り組んだ財務関連業務のBPOというアウトソーシングでも、かなりの経済的・人的コストの削減に繋がりました。

 

日本全国の自治体の職員さんたちはドン引きすると思います。だって、1億円近くのコスト削減って、尋常じゃありませんから。

 

浦安市の予算規模から考えると大した話ではないように思えますが、ここまでのコスト削減というのは、とても大変なんだと思います。

 

けれど、チームウラシマという自主研究グループ...今では市民活動団体になっているようですが...そういった取り組みが必ずしも浦安市から応援されて始まったというわけではないようです。

 

むしろ、憂さ晴らしに近い感じだったみたいですね。

 

うーん、今から4~5年くらい前だったかな...私は、市民税課に証明書を受け取りに行って、とてもショックを受けました。

 

私が市民税課の日曜窓口のカウンターの前に立っただけで、一人の中年の男性職員がこちらを見て、証明書を必要としていることを察して、コピー機のスリープを解除しながら近づいてきました。

 

そして、まさに流れるような手さばきで申請書類の説明や本人確認を行って、これ以上のスピードはないだろうという勢いで証明書が出来上がりました。

 

「へぇ、優秀な市職員がいるものだな」と感心して、ネームプレートを確認したら、「小泉」と書かれていました。

 

「まさか、情報政策課の小泉さんじゃないよね...」と、信じられない気持ちになりましたが、尋ねてみると、やはりご本人でした。

 

私にとっての小泉さんは、液状化の際に情報分野で浦安を救ったヒーローです。その後も彼は情報政策課でバリバリと活躍していると思っていました。

 

しかし、その本人は、市民税課の日曜窓口で証明書を発行している...いえ、それも大切な仕事だとは思うのですが...

 

車で例えると...ポルシェ911というスポーツカーの強力なエンジンやサスペンションは、日本の混み入った市街地を走るために設計されていません。速度無制限のアウトバーンをぶっ飛ばしてこそ本当の力が分かると思うのです。

 

液状化で街が崩壊した状況でGISを動かしたり、東京の23区よりも早い段階でハイブリッドクラウドを着想するくらいに情報分野で卓越した能力を有する職員が、日曜日の市民税課の窓口で証明書を発行しているとは...

 

しかも、ネットで公開されていた彼の姿は、もっと太って恰幅が良くて、自信満々で、目つきがギラついていて、無精ヒゲを生やして、不遜な感じの面構えでした。

 

しかし、目の前に立っている彼の姿は、頬がゲッソリと痩せてしまって、変わり果てた姿でした。

 

浦安の窮地を救った情報戦のエキスパート。

 

その彼が、情報政策課から市民税課に異動になり、日曜日の市役所の窓口で証明書を印刷して、市民に手渡して、発行料として千円札を受け取って、目の前で「ひゃく、にひゃく、さんびゃく...」とお釣りを数えていました。

 

「おい、どうしてなんだよ...」と、私は、こみ上げてくる涙を堪えながら、彼の姿を見つめていました。

 

職業人生を送ることは、決して順風満帆なことではなくて、常に我慢の連続です。自分の意見が正しいと思っていて、実際に正しかったとしても、組織の都合で潰されることなんてよくあります。

 

私なりに調べてみたところ、彼は、他の基礎自治体でもあまり普及していなかった「オープンデータ」の実現について、上司に対して何度もお願いした...というか、あまり能力の高くない上司とやり合ったみたいですね。

 

で、情報政策課から市民税課に飛ばされたんじゃないかと。

 

今だったら、オープンデータという取り組みは普通に広まっていますが、当時はまだ行政の最前線のテーマでした。

 

しかし、当時の浦安市は、市民からの突っ込みをケアしていて、情報公開に慎重でした。市の情報を公開して、浦安市や市議会に不満がある人たちから突っ込まれたらどうするんだと。

 

オープンデータって、そういった取り組みじゃないんですよ。しかし、当時の幹部職員たちがオープンデータを単なる情報公開と勘違いしていたのかもしれないですね。

 

今でさえ、40~50代の浦安市役所の職員さんたちの中にはオープンデータが何なのか、そしてその取り組みにどのような可能性があるのかを完全には理解できていない人がおられるようですから。

 

では、そのようなご時世で彼が「オープンデータを始めたい」と言い出したことが、果たして浦安市にとってマイナスだったのだろうかと。

 

北海道の室蘭市を筆頭に、たくさんの自治体が情報分野を市の重要な柱だと考えて、気鋭の職員を集めてオープンデータやその他の取り組みを開始し、先進自治体として走って行きました。

 

一方、当時の浦安市は、オープンデータという言葉を使わずにデータの公開を始めるという塩辛い対応だったわけです。

 

そして、情報政策の主戦力となるはずの職員を、市民税課に異動させたという形になったのではないでしょうか。

 

浦安市内には、たくさんのIT系のお父さんたちがお住まいです。私が出会ったシステムエンジニアのお父さんの数だけでも、10名を軽く超えています。

 

彼らに話を聞くと、とても勉強になることがあるんです。

 

「情報の分野では、スタッフの数だけを集めた人海戦術はあまり意味がなくて、少なくても構わないから、本当に仕事ができるスタッフが必要なんです」という言葉をよく聞きます。

 

10人が束になって頑張っても解けない問題が、たった1人の働きで解決することがあって、そういった「デキる人」が必要なんだと。

 

別に浦安市の人事についてとやかく言うつもりはないのですが、全国レベルでも稀有な才能を持った彼の力を発揮させていれば、今頃、浦安市は情報分野の先進自治体として日本をリードしていたかもしれません。

 

それは、自治体間の競争やアピールで勝つという話ではなくて、行政業務の効率化やコスト削減を行って、他の自治体にノウハウを伝えるという意味があると思います。

 

そして、今、再び大きな波がやってきました。

 

政府がデジタルガバメントの推進を打ち出したわけです。

 

その取り組みの中には、「デザイン思考」とか「サービスデザイン」とか「ヒューマンセンタードデザイン」とか「エンドツーエンド」といった、あまり目にしない横文字のフレーズがたくさん入っています。

 

特に、私たちにとってあまり見かけたことがない「デザイン思考」がキーワードになっていますね。

 

デザイン思考が何なのかは、政府CIOポータルでも紹介されていますが、英文のソースを読むとさらに詳しい説明を読むことができます。

 

The Interaction Design Foundation

Design Thinking

https://www.interaction-design.org/literature/topics/design-thinking

   

LITERATURE ON DESIGN THINKING

https://www.interaction-design.org/literature/topics/design-thinking

What is Design Thinking and Why Is It So Popular?

 (Show full articleをクリックすると、もっと詳しい説明があります)

 

それと、前編や中編で書きとめた「Human-centered design」という言葉についても、IDEO社のサイトで紹介されています。

  

DESIGN KIT

http://www.designkit.org/

 

では、デザインシンキングという考え方が、とても難解で理解しづらいことなのかというと、私はそう思いません。

 

デザインシンキングという思考方法は、あらかじめ設計されたステージに従って、ステップバイステップで考えていく形のことだと私は理解しているわけですが、Stanford’s Hasso-Plattner Institute of Designが提唱しているデザインシンキングのステージを眺めてみると、私たち日本人の場合には、とても普通のことのように感じると思います。

 

1. Empathize

2. Define

3. Ideate

4. Prototype

5. Test

  

私が日本語訳するとフィルターがかかってしまうので、必要に応じて辞書で調べてほしいのですが、この考えって、日本人の「ものづくりの精神」とか「匠の心」とよく似ているというか、そのものなんですよね。

 

加えて、浦安市内で生活していると、浦安生まれ浦安育ちの人たちの中にデザインシンキングに長けた人を見かけることが多いです。

 

その理由がどうしてなのか、私にはまだ理解ができずにいます。ただ、浦安が漁師町だったという歴史を考えると、漁を行う際に、もしくは集団で働く上でデザインシンキングを使ってきたのかもしれないなと思ったりもします。

 

日本人にとってデザインシンキングはとても自然なことだけれど、その考えが必ずしも行政に活かされていなかったことが分かり、サービスデザインという考え方が取り入れられるようになったのだと思います。

 

声の大きな市民だけではなく、たくさんの市民の皆さんが何を求めているのかについて行政が情報を集めて、その課題が何かを定義して、たくさんのアイデア出しをやって、その段階では完璧でなくても構わないからプロトタイプをつくって、それらを試してみる。

 

そこで必要なのは「段取り」なわけで、つまりは、ステップバイステップですよね。なるほどそうかと勉強になります。

 

地方行政について考えてみると、このスタイルって、市民側だけでなくて施策を展開する側にもメリットがありますよね。

 

たくさんの市民の意見を集めて、できる限りたくさんの人たちが必要としていることを考えて、少しずつプロトタイプを試して地道に取り組みを続けていたら、トップダウンで何かを決めて行政と市民が対立したり、たくさんの税金を投入して大失敗することも少ないと思います。

 

新しい施設を建設して市の偉い人たちがテープカットをしても、市長の両側に立っている人たちのことなんて、ほとんどの市民は誰なのかも気づいていませんから。

 

一方、お金をかけなくても、行政からちょっとした気遣いがあったり、取り組みの良さを改めて実感できる機会があると、その街への信頼や感謝がやってくると思うわけです。

 

私には、気になっていることがあります。

 

たまに、市の取り組みについて、失敗覚悟、赤字覚悟で税金を投入してでも挑戦すべきだと主張している御仁を見かけます。色々と頑張って主張していますが、ロジックが穴だらけで、私的にはあまり賛同できません。

 

その経済的効果というのは、具体的にどの程度の規模なのかを説明してほしいものです。ディズニーや鉄鋼団地を超えるような税収が、本当に見込めるのでしょうか。

 

失敗覚悟で取り組みを行って、言い出した本人は責任を取らなくて、市民の税負担として責任を取るのでしょうか。そんな博打のようなことを看過する気持ちになれません。

 

また、そういった取り組みを実際に行って成功した日本国内の自治体があるのでしょうか。

 

千葉県で初めてとか、全国で初めてとか、そういった取り組みというのは、鋭いアイデアと明確なエビデンスがあってこそ先駆性がある場合と、リスクがありすぎて、いや最初から失敗することが分かっていてどこも始めないという場合があると思うんです。

 

海外の例を日本に持ち込む時には注意しなくてはいけないですし、国内の例であったとしても、それぞれの基礎自治体が置かれている状況は違います。常に流動する因子がある中で、きちんと分析せずに「これこれこういう例があるから、浦安市もやるべきだ」と進めて失敗したら、市民の税金が無駄になります。

 

加えて、そういった事業を行うための財源を国や県もしくは市のどこから捻出し、失敗した場合の損失をどこが受けるのでしょうか。

 

例えば、千葉県内には小中学校にエアコンが設置されていない市がありますが、予算が足りなくてエアコンを設置したくても設置できない状況ですよね。

 

では、現時点で、そういった自治体の努力が足りなくてエアコンが用意できないのでしょうか。

 

違いますよ。

 

ずっと昔の取り組みの中で行政が色々なことに手を出しすぎて、ここぞというところで予算を使うことができなくなったんじゃないでしょうか。

 

その時に予算の使い方を決めた人たちは、すでに引退していると思いますよ。

 

市民からの税金というのは、市が取り上げたものではなくて、預かったものです。余程のことがない限り、失敗覚悟で無駄遣いするわけにはいかないのです。

 

行政に限らず、企業であっても、アウトカムを得られない事業を展開した時には批判を受けますよね? 鬼の首を取ったかのように指摘されるのではなくて、追及されて当然なんです。

 

そうならないためにも明確なエビデンスと具体的なゴールイメージを示す必要があるんです。

 

また、街の行政について突っ込むのであれば、実際の職員さんたちとも深く交流して、地方行政について学んだ方が良いと思います。

 

今、この街は、システムの再構築と街全体のオーバーホールに入っている状況だと思います。

 

小学校や中学校、生活を守るために必要な焼却施設、排水施設、下水道管など、たくさんのインフラが老朽化しています。

 

しかも、浦安市は財政力が高いので地方交付税を受け取ることができません。なので、幼児教育・保育の無償化やふるさと納税において、地方交付税措置がなされません。財政上の負荷がシビアなのです。

 

つまり、お金に余裕がないのですよ。

 

それでも、現在の浦安市は、大切な施設を地道に修繕したり、体勢を立て直そうとしています。そのように大切な時期なのに、失敗覚悟で新しい施設を作っている余裕があるのでしょうか。提言なら歓迎しますが、煽るのは良くないと思います。

 

例えば、今まで、元町エリアの子供たちは、狭い公園で遊ぶしかありませんでした。

 

一時期、うちの子供も元町エリアの保育園に通っていましたが、園庭がなくて、保育士さんたちが一生懸命に子供たちを守りながら、本当に小さな公園に連れて行って遊ばせてくださっていたんです。

 

そのような状態で、元町エリアの市役所の近くに、大きな公園を作ろうというプロジェクトが進んでいます。素晴らしい取り組みですよ。

 

私は新町エリアの住民ですが、浦安市の方針に大賛成です。だって、本当にたくさんの人たちが必要としていて、望んでいることに税金を使ったのなら、失敗することが少ないですし、失敗しても納得できますから。

 

産婦人科医院でのトラブルについてはきちんと対応してほしいですが、今の浦安市は、財政的に厳しい状況の中で丁寧に予算を組んで頑張ってくれているじゃないですか。

 

その厳しい状況を作り出したのは、必ずしも今の浦安市の責任じゃないと思いますよ。街の現状をあまり把握せずに、派手な施設やサービスを求めてきた市民にも責任があるんじゃないですかね。

 

その代償が今になってやってきていますよ。

 

ああ、そういえば、この前、新町エリアの日の出地区の海沿いを散歩していてお見かけしましたが、立派なご自宅ですね。

 

しかし、 皆が皆、そういった華やかな生活をしているわけじゃないんですよ。

 

浦安市内には、保育園が足りなくて困っている市民がたくさんおられます。そういった人たちにとっては、生活のために保育が必要なんです。そのためには市の予算が必要です。

 

生活に困っている子育て世帯、空腹に耐えている子供たちだって住んでいます。浦安市が失敗覚悟の投資をしている余裕があるのなら、もっと助けられることがたくさんありますよ。

 

トップダウンによって、アウトカムの得られない施設をたくさん作って、実際に失敗し続けていたら、その代償は、10年後、20年後にボディブローのように効いてきます。

 

その間に液状化が起きたら、街の発展どころの話ではないです。

 

働き盛りの世代が減って市の収入が減ることは理解できますが、計画というのはリスクとベネフィットを考えて行うものです。

 

 

もとい、気を取り直して進みます。

 

デザインシンキングについて考えていて、とても勉強になったことがあります。

 

大学院生の時、図書館でたくさんの本を借りてきて勉強したのですが、認知科学とかそいうった側面で人の思考を考えてみると、様々なシンキングのスタイルがあります。

 

1. ロジカルシンキング

2. ラテラルシンキング

3. アナリティカルシンキング

4. コンセプチュアルシンキング

5. デザインシンキング

6. クリティカルシンキング

  

「1と2」、「3と4」、「5と6」が対になったような関係なのでしょうね。

 

ロジカルシンキングに偏ると、多面的もしくは奇抜な発想から問題を解決することが難しかったりします。そこで必要なのはラテラルシンキングですよね。

 

クリティカルシンキングに傾いた人というのは、様々な点について指摘したり批判することが得意ですが、「じゃあ、どうすればいいですか?」という逆質問が飛んでくると、具体性や実現性が欠けた支離滅裂なアイデアが出たりします。それは、デザインシンキングが弱いからだと思うわけです。

 

そういったことを考えていて、「これって、子育てに応用すると面白いね」と妻に紹介したところ、思ったよりも話に花が咲きました。

 

ほら、子育てをしていると、我が子が何を考えているのか分からなくて、イライラすることがありませんか?

 

たぶんなんですが、成長している子供たちの頭の中では、様々な思考が芽生えていて、しかも持って生まれた得意な思考があるんじゃないかなと思うわけです。

 

それは子供たちに限った話ではなくて、大人だってそうです。さらに不思議なことに、自分がどのような思考を得意としているのかについて、自分では気づかないような感じがあるのです。

 

自分の顔を見るためには鏡が必要になりますよね。自分で自分の顔を見ることができません。ましてや、自分の考え方は鏡に映りませんから。

 

で、例えばうちの妻を私の目で眺めてみると、コンセプチュアルシンカー寄りのロジカルシンカーなんだなと感じました。ロジカルシンキングが得意だけれど、物事の本質を突いて最短距離で進もうとしますから。

 

では、うちの子供たちが同じタイプなのかというと、そうじゃないんですよ。

 

クリティカルシンカー寄りのアナリティカルシンカーだったり、ラテラルシンカー寄りのデザインシンカーだったり。妻と子供たちの間で思考形式が違うので、ロジカルシンカーの妻としてはイライラすることがあるんじゃないかと。 

 

僕自身がどのような思考形式なのか、どんなシンキングを得意としているのかについては周りの人たちに尋ねてみないと分からないのですが、たぶん子供たちと似たところもあって、違っているところもあるんじゃないかと思うわけで、本当に面白いなぁと。

 

で、そういった得意な思考形式というのは、広い目で見た場合には、それぞれの子供たちの「生きる力」なんじゃないかなと思ったりもするわけです。

 

「生きる力」ってバズワードの一つですが、子育てをしていると「ああ、そういうことか」と感じることがありますよね。

 

偏差値を高めて進学校に進む。進学校に入ったので難関大学に進む。そして一流企業に勤めてたくさんのお金を稼ぐ。そういった価値観を否定はしませんが、それらが必ずしも幸せな人生だとは思えないのです。

 

本当に幸せな生き方が何なのか、それは私にも分からないです。けれど、自分の思考形式にフィットした仕事が見つかって、遣り甲斐をもって生きることができれば、それはとても幸せなことなんじゃないでしょうか。

 

そういったことを妻に話したら、妻の心の中で何かが軽くなったみたいです。今まで辛かったんだな、辛さを理解してあげられなかったんだなと、本当に申し訳ない気持ちでした。

 

「地域デザインラボ@ちば」から始まって、なぜか我が家の家庭に良い影響があって、それはそれでめでたくて、そろそろ眠いので寝ようかと思うのですが、ここで終わるとチームウラシマのリーダーが悲しむと思うので続けます。

 

私は、「デザイン思考」をベースに暮らしを考えるという地域デザインラボ@ちばのサイトを眺めて、良い意味で「クスッ」と笑ってしまいました。

 

それはどうしてなのか?

 

おそらく、チームウラシマのリーダーも、この自主研究グループに参加して、デザインシンキングについて学んだり研究しようという話なんですよね。

 

でも、私から見ると、彼は生粋のデザインシンカーだと思うわけで、勉強したり研究する必要があるんだろうかと思ってしまうんです。たぶん、彼自身が、その才能に気づいていないのではないかと。

 

どうして彼が市役所で働いているのか分からないのですが、まさにデザイナー的な発想と感性を有しています。そのデザインの対象がGISやシステムネットワークとか、そういった方向なんでしょうね。

 

私が知る限り、チームウラシマのリーダーは高卒です。大学に行っていません。しかし、自治体の職員同士で同じ分野の人たちが集まったら、彼は大卒どころか大学院修了の人たちさえ圧倒するくらいの馬力があります。

 

市役所の内外で働く中で修得したこともあるとは思いますが、彼の場合には持って生まれた才能やセンスが大きいと思いますし、それこそが「生きる力」なんだなと、本当に勉強になります。

 

そういった職業人生って、同じ男から見てもカッコいいと思いますよ。

 

そして、デジタルガバメントの中で大切にされている「サービスデザイン」ですが、チームウラシマのリーダー、もしくはチームウラシマの皆さんの場合、別に狙って行う必要はないですよね。

 

なぜなら、これまでのチームウラシマの取り組み自体が、まさにサービスデザインですから。

 

例えば、旧庁舎の頃、チームウラシマの市職員の人たちが面白い取り組みをやっていました。

 

市民税課にやってくる市民の人たちの行動をあらかじめ分析して、そのフロアにやってきてから手続きを終えるまで、できる限りスムーズに手続きができるようにデザインをアレンジしたことがありましたよね。

 

それと、高齢者の皆さんがどのように市内を歩いて移動するのかということについて、市役所の人たちが高齢者の関節の可動域をシミュレートするような器具を身体に取り付けて、実際に街を歩いてデータを集めて分析したことがありましたよね。

 

それだけじゃないですよ。携帯情報端末を持って、実際の市民の目線からたくさんのデータを集めて、GISで解析していました。

 

そういった取り組みって、まさにエンドツーエンドのヒューマンセンタードデザインだと思います。しかも、市民のためになるのに、全くの無給、ボランティアの自主研究ですよ。

 

なので、浦安市の場合には、「サービスデザイン」について深く悩む必要はなくて、職員さんたちの自主研究の段階ですでに検討が完了しているんじゃないかと私は思います。

 

また、GISやICTに長けていて、まさにデザイン思考が人間の形で歩いているようなチームウラシマのリーダーがおられますから、それらも心配ないですよね。

 

最後に...

 

東日本大震災の時に活躍したGISですが、チームウラシマのリーダーがおっしゃる通り、このシステムは彼ひとりの力で充実したわけではありません。

 

しかし、私には、チームウラシマのリーダーがSNSでつぶやいた一言が、パワーフレーズとして頭の中から抜けずにいます。

 

それは、「私たちがもっと頑張っていたら、救えた命があったんじゃないでしょうか」という一言です。

 

おそらく東日本大震災が発生する前までの自治体の取り組み、もしくは地震が発生した直後の対応のことなのかなと私は思いました。

 

もっと踏み込むと、自治体における情報やデータといった形のない存在が、実際には市民の命を守ることがあるのだと、彼自身が気付いたのではないでしょうかね。

 

加えて、どうしても書きとめておく必要があることがあります。

 

浦安市役所には、チームウラシマのリーダーだけではなくて、もう一人のGIS上級技術者がおられます。

 

現在は、教育総務部に異動された醍醐さんという次長級職員です。

 

私は、彼の職業人としての生き方から、とても大切なことを二つ学びました。

 

一つは、職業人としての矜持です。

 

彼は、若い頃から浦安市の情報政策課においてGISの整備のために努力を積み重ねてきました。そうやって地道に取り組んできた成果が液状化という窮地で機能しました。

 

震災当時、同じ情報政策課の小泉さんがGISを起動して情報面で浦安市を守ろうとしましたが、彼が使っていたシステム自体は、醍醐さんが中心になって構築を続けてきたものだと理解しています。

 

また、震災当時の情報の分析などは醍醐さんが担当していました。

 

しかし、GISを整備した醍醐さんの功労が目に見える形で認められたという跡が、ほとんど見当たらないのです。

 

地道に仕事を頑張って、その成果が市民の安全や安心に結びついたけれど、その取り組みをアピールすることもなく、まさに「男は背中で語る」を貫いていて、カッコいいなと。

 

彼から学んだもう一つのこと。

 

それは、職業人として生きることの直向きな姿勢です。

 

情報政策課で手腕を振るった後、醍醐さんは「復旧・液状化対策プロジェクト」というセクションに配置されて、浦安市内の液状化対策のために努力してきました。

 

優秀な人材が激戦地に送られて、そこで苦労するというのはどの組織でもよくあることですよね。

 

液状化対策の事業は様々なネックがあってほとんど進まず、プロジェクト自体は未完のまま頓挫する形になり、彼自身は他のセクションに異動することになりました。

 

おそらくなのですが、醍醐さんは、このプロジェクトが困難だということを早い段階で気づいていたと思うのです。

 

けれど、職業人として生きていく中では、たとえ無理だと分かっていても、歯を食いしばって何度も壁に当たらなくてはいけないことだってありますよね。

 

彼の場合には、浦安市を液状化に負けない街にしたいというテーマだったかもしれませんが、夢や希望に向かって懸命に仕事で努力を続けて、それらが打ち砕かれた時、人は何を思うのだろうかと。

 

さて、いつもながら延々と書きつづってしまいましたが、私として何が言いたいかといいますと...政府が主導してデジタルガバナンスを推進しようとしている現在、浦安市は行政の電子化を実現する自治体としてモデルケースになると思うわけです。

 

浦安市の場合には、行政の電子化に取り組むことは初めてではなくて、すでに何度も取り組んできました。10年どころか、それ以上前から。

 

ASCII.jp x デジタル

「それでも紙はなくならない」「件数の多い申請から電子化」現実的な運用を進める各自治体――“先進自治体事例発表会 2005”

https://ascii.jp/elem/000/000/349/349079/index.html

  

日経 xTECH(クロステック)

電子自治体ポータル

【千葉県浦安市】統合型GISの地図情報を市民に公開

「掲示板付き電子地図」で地域の情報交流を活発に

https://tech.nikkeibp.co.jp/it/free/NGT/govtech/20050721/165067/?ST=sp&P=1

2002/07/19

 

最近の浦安では、「10年後、20年後を見据えた施策を」といったフレーズを目にしたり耳にしますが、ずっと先の未来を見据えた施策を、浦安市という街はきちんと続けてきたんです。

 

その努力のひとつが、東日本大震災という危機においても街を助けました。これから始まるデジタルガバメントの推進においても、過去の経験がきっと花開くことでしょう。

 

ヒーローたちに憧れる少年のような感じで大変恐縮なのですが、10年や20年どころか、30年近く前。

 

私たちのようなオッサンが子供だった頃、「キン肉マン」というアニメがありましてね...

 

平成生まれどころか30代のお父さんたちでさえ全く意味不明かもしれませんが、デジタルガバナンスを推進する状況で、小泉さんと醍醐さんが情報政策の分野に戻ってきたら、まるで「2000万パワーズ」みたいだなとワクワクするんです。

 

一時は再起不能になりながらリングに戻ってきたモンゴルマンと、角が折れても突進していくバッファローマンのタッグ。

 

黒いショルダープロテクターを付けた二人が登場して、少年だった頃の私はドキドキしながらそのシーンを見つめていました。

 

浦安を襲った液状化に対して、情報分野で果敢に立ち向かったエース級職員の小泉さんや醍醐さんに待っていたのは、必ずしも理想通りの職業人生ではなかったかもしれません。

 

悩み苦しむことが多かったかもしれません。

 

そして、彼らも私と同じですっかり歳を取って、立派なオッサンになってしまいました。残された時間は限られています。

 

以前のように彼らが情報政策の場所に戻ってきて、デジタルガバナンスに向かって全力で取り組んで実現する姿を、これからの浦安市を支える中堅や若手の職員に見せてあげてほしいなと思います。

 

とても大きな目標になるでしょうし、彼らの職業人としてのプライドやモチベーションにも繋がりますよ。

 

それでは、おやすみなさい。