男子厨房に入らず的な父親が、タイガーのホットプレートCRV-B200を手に入れて休日の夕食作りに挑戦する:お好み焼き編

 

この記事は、以前、連載していたフジヤマジロウ小説の一部です。浦安のとある保育園児のお父さんの頭の中で、「僕」という自分と、文章を書く時だけ登場する「フジヤマジロウ」という自分が延々と議論を続けるという内容でした。

 

あまりにマニアックな考察だったので、一部のコアなファン以外はドン引きしてしまったので、今は公開していません。ご容赦くださいませ。

 

2016年2月2日

 

ヤマジロウ:おい、今、気づいたぞ。

 

僕:え? なになに?

 

ヤマジロウ:我々ヒノデダッズムは、子育てについて父親目線で考えて情報を発信するという大切なポリシーがあったはずだ。

 

僕:あ!

 

ヤマジロウ:演技でも構わないので、家庭を大切にすることもあったという状況証拠を残さねばなるまい。

 

僕:どうすんのさ?

 

ヤマジロウ:うむ。我々が父親の子育てのバイブルだと勝手に賞賛し、熟読している小学館集英社プロダクションの「ダッディズム 俺たちの父親道」を読み返してみよう。ちなみに、ヒノデダッズムの「ダッズム」は、ダッディズムの省略形だったりする。吾輩が勝手に考えた。

 

僕:うん。

 

ヤマジロウ:この本には、こう書いてある。

 

子育てにルールはない。

 

僕:イクメンってなんなのよって感じでブッタギッテるね。

 

ヤマジロウ:うむ。我々の知人である、浦安の子育てNPO法人 i-net のアロハ代表が聞いたら顔をしかめそうなセリフだな。機会があれば詳しく話したいが、この本というのは、育児に悩む父親にはとても参考になる。特に、家庭を非常に大切にすることで有名な「的場浩司」殿の記事というのは、日本政府が買い上げて、ネットで公開してほしいくらいの素晴らしい内容だったな。

 

僕:うん。

 

ヤマジロウ:男の育児や家事については色々な議論があるのだが、それらを超越した内容なのだ。「大切なのは、父親としての責任とか義務なんかじゃない、父親としての本能なんだ」というメッセージは凄まじかった。

 

僕:まあ、真似できないけどね。

 

ヤマジロウ:うむ。ただ、的場殿の場合、育児や家事を積極的に始めたきっかけと言うのは、奥さんだったそうだ。出産後に弱っている奥さんを見て、何かできないかと。そうだ。うちも妻を観察して何かをやってみよう。うーん、これをやると喜ばれるということは何だろうか?

 

僕:うーん。休日の料理かな?

 

ヤマジロウ:抜け作のお主にしては、なかなか鋭いぞ。お主は、食に関して全く関心がない。独身時代にファミチキばかり食っておった。一流レストランの北京ダックを食べた時の感想と、ファミチキを食べた時の感想が、「ウマイ」だけだったりもする。

 

僕:ま、まあね。

 

ヤマジロウ:このままでは、この男が死ぬと思った妻が引き取ってくれて、今に至っておる。だがしかし、いくら彼女が料理上手だとはいえ、さすがに休日まで料理の献立を作るのは大変だな。自分の料理というのは、その味に飽きてしまったりもするし、夕食を作らずに片づけもせずに風呂に入って寝たいという気持ちも分かる。

 

僕:でもさ、僕のレパートリーって、手の指の数よりも少ないよ?

 

ヤマジロウ:うむ。例えばなんだ?

 

僕:卵かけごはん。

 

ヤマジロウ:子供にとって栄養のバランスが偏るな。他は?

 

僕:トン汁。

 

ヤマジロウ:主食がない。

 

僕:うーん。

 

ヤマジロウ:ということで、我々は先ほど、日の出地区のケーズデンキに行って、秘密兵器を買って来た。本当は新しいデジカメを物色しようと思ったのだが、何かピーンと来た。これだ、これなら何とかなる。

 

僕:うん!

 

ヤマジロウ:タイガー魔法瓶株式会社のホットプレート CRV-B200だ。

 

僕:結構高かったね。

 

ヤマジロウ:うむ。ケーズデンキで買ったのだが、家に帰ってネット通販を見たら、もっと安かったのでショックを受けた。だがしかし、日の出地区のケーズデンキはサービスが非常に良くてだな、不具合があった時のフォローが素晴らしい。普段からお世話になっているというのもあって、長く使いたい家電はケーズデンキで買うことにしていたりもする。

 

僕:うんうん。

 

ヤマジロウ:普段はパナソニックの家電ばかりを買うのだが、今回はタイガーのホットプレートに魅かれた。値段もあるが、何かグッと来た。

 

僕:このホットプレートって、縦方向に収納ができるんだよね。

 

ヤマジロウ:うむ。これは便利だな。場所を取らない。

 

僕:でもさ、妻に相談しないで、いきなり買って来たから驚いていたよ。「あなた、何を買って来たの!?」って。

 

ヤマジロウ:うむ。しかも、普段から料理をしない。いや、料理ができない夫が、ホットプレートを買ってきて休日の料理をやると言い出した。明日は雪でも降るのではないかという表情だったな。

 

僕:うん。

 

ヤマジロウ:とりあえず、取扱説明書を読もう。献立はその後だ。

 

僕:うん。

 

ヤマジロウ:とりあえず、頑張って作ったということは分かった。

 

僕:うん。

 

ヤマジロウ:左側は鉄板モードだな。そして、右側は焼肉モードということか?

 

僕:そうみたいだね。たこ焼モードがある上位機種もあったけど、どうして買わなかったの?

 

ヤマジロウ:たこ焼を頻繁につくる可能性がゼロに等しい。大阪人なら毎日つくるのかもしれんが。おそらくだが、上記機種は大阪人のための製品だと思う訳だ。

 

僕:あ、そうかもしれない。

 

ヤマジロウ:さて、何かをつくろう。何か参考になる資料はないだろうか?

 

僕:クッキングパパとかは?

 

ヤマジロウ:あの本は、普通に料理ができる人が読んで、さらに上を狙って行く上級本だと勝手に思っている。

 

僕:どうしよう? 日の出保育園の給食とかを参考にしてみようか?

 

ヤマジロウ:うむ。

 

ヤマジロウ:全く参考にならないぞ。一ヶ月分の献立をここまで詳しく考えるのは、食育がなっていないお主としてはまさに異世界だな。

 

僕:す、すごいよね。。。日の出保育園って、子供達の食事の栄養バランスとか、カロリーとか、すっごく丁寧に考えてくださるよね。

 

ヤマジロウ:しかも、日の出保育園を含めた浦安の公営保育園は、アレルギー対応が凄まじいのだよ。これは、日本全体に向かって誇れるくらいのレベルだと思う。ここまで緻密な料理の内容なのに、たった一人の子供にアレルギーが認められたら、その子供のために専用の料理を作ってくださる。アレルギーだけではない。油分が多いとお腹を壊しやすいとか、そういった内容まで丁寧に対応してくれるのだ。

 

僕:うん。ありがたいし、安心だよね。

 

ヤマジロウ:見ろ、保護者が気合いを入れないと理解できなさそうな高度な説明文を!

 

僕:すごいよね。僕、ゴマサバって、ゴマを振りかけたサバの料理だってずっと思っていたよ。この前、福岡に出張して帰ってきて妻に笑われた。

 

ヤマジロウ:見ろ、極限までシンプルに研ぎ澄まされたサバのイラストを!おそらく、左がマサバ、右がゴマサバだな。

 

僕:サバのお話だからね。

 

ヤマジロウ:さて、日の出保育園の献立表は、食に興味がなく、料理が出来ない父親にとっては難解な古文書のようだった。おお、ホットプレートの説明書にメニューガイドが用意されておる。まるで、吾輩の心理を察したような対応だ。

 

僕:うん。ありがたいね。

 

ヤマジロウ:どれにしようか?

 

僕:あれ?

 

ヤマジロウ:お、お好み焼きだとぉおお!

 

僕:うん。

 

ヤマジロウ:お主、作ったことはあるか?

 

僕:子供の頃に手伝ったことならあるよ!

 

ヤマジロウ:よし、お好み焼きで行こう。

 

ヤマジロウ:とりあえず、材料だな。おい、冷蔵庫と冷凍庫の中を物色してみろ。それらしい食材が入っているはずだ。ただし、お主は重度のネギアレルギーだ。青ねぎを食べると絶命する危険性があるから気を付けろ。

 

僕:分かった!

 

ヤマジロウ:うむ。小麦粉と山芋の粉があって助かったな。それと、妻がストックしてあった出汁があったのも助かった。

 

僕:うん。

 

ヤマジロウ:おい、何かネバリ気が少ない気がするぞ。お主、分量をチェックしたのか?

 

僕:いや、なにも。

 

ヤマジロウ:このような時は、ロジカルシンキングで行こう。粉を足せ。

 

僕:分かった。

 

ヤマジロウ:水を足せ。

 

僕:分かった。

 

ヤマジロウ:えらく長いキャベツだな。「キャベツ・ロングホーン」と名付けよう。

 

僕:うん。

 

ヤマジロウ:とりあえず、温度が分からないのでマックスで行こう。

 

僕:うん。でもさ、マックスになったって、どうやって分かるのさ?

 

ヤマジロウ:それもそうだな。このホットプレートにはデジタルメーターが付いておらん。こんな時は、お主の身体に備わっている温度センサーを発動させよう。

 

僕:え? 僕って、そんな能力があったの?

 

ヤマジロウ:うむ。普段は主人格であるお主に体の操作を任せているが、少しの間、第二の人格である吾輩に交替しろ。

 

僕:分かった。

 

ヤマジロウ:さて、温度を調べよう。

 

僕:うん。

 

ヤマジロウ:うむ。主人格を変わるぞ。

 

僕:おい。

 

僕:アチッ!

 

ヤマジロウ:うむ。昔のホットプレートは、温度上昇が非常に遅かったが、最近のホットプレートは凄まじいな。一気に温度が上がる。

 

僕:だから、熱いって。

 

ヤマジロウ:よし、油をひけ。

 

僕:分かった。

 

ヤマジロウ:おい、ゴマ油と書いてあるぞ。先ほどのタイガー魔法瓶株式会社のマニュアルではサラダ油と書いてあったはずだ。

 

僕:いや、単に油の瓶が手前にあったから。

 

ヤマジロウ:うむ。ロジカルシンキングだな。

 

ヤマジロウ:とりあえず、適温になったのかどうか分からないので、ここでモニターを用意しよう。

 

僕:うん。

 

ヤマジロウ:モニター豚肉と、モニターキャベツを設置する。我々が極秘裏に開発したキャベツ・ロングホーンを実戦使用する時が来た。

 

僕:結構、焼けるんだね。思ったよりもずっと強力だよ。

 

ヤマジロウ:うむ。適温だ。豚肉を入れろ。

 

僕:分かった。

 

ヤマジロウ:いきなり豚肉がアウトオブバウンズをかましている。おい、肉を広げろ。

 

僕:分かった。

 

ヤマジロウ:次は、お好み焼きの生地だな。先ほどから子供がやりたいと申しておる。クックルンのノリだな。

 

僕:うん。

 

ヤマジロウ:おい、もしかして、うちの子供は料理において父親を越えたのではなかろうか? 凄まじく上手だぞ。

 

僕:ああ、日の出保育園って、たまに料理とかをやるからね。

 

ヤマジロウ:うちの子がここまで料理上手だとは想像もしていなかった。まるで、お好み焼きをつくっているかのようだ。

 

僕:うん。まるで、お好み焼きみたいだよ。

 

ヤマジロウ:妻はどうしている?

 

僕:うん、ニコニコしながらリラックスして休憩しているよ。

 

ヤマジロウ:うむ。これでいいのだ。父子の共同作業というのも、ソレはソレでアレだ。

 

僕:うん。

 

ヤマジロウ:大昔、屋台のお好み焼きで卵を乗せていた気がするぞ。やってみるか。

 

僕:うん。

 

ヤマジロウ:もしも間違っていた時のことを考えて、一つだけチーズを乗せておこう。何事もリスクヘッジは大切だからな。

 

僕:そうだね。

 

ヤマジロウ:ホットプレートの過熱部分は卵と接していない。キャベツの熱伝導効率を計算した場合、卵黄や卵白を熱変性させるには、上からの蒸気が必要だな。フタをかぶせろ。

 

僕:分かった。

 

ヤマジロウ:おい、腹を空かせた子供達が皿やフォークを用意し始めたぞ。もしも失敗したら、暴動が起きるやもしれん。

 

僕:緊張するね。

 

ヤマジロウ:父親には、一歩も引けないシチュエーションがある。それが今だ。気を抜くな。

 

僕:分かった。

 

ヤマジロウ:しばらく待ったが、卵が全く固まっていないぞ。そうか、これがホットプレートなのか!

 

僕:いや、まだ3分間しかたってないけど。

 

ヤマジロウ:吾輩はせっかちだ。次のステップに行くぞ。

 

僕:わ、分かった。

 

ヤマジロウ:お好み焼きというのは、確か、ひっくり返したはずだな。やってみろ。

 

僕:うん。

 

ヤマジロウ:豚肉の位置がセンターから大幅にずれておる。卵の一部が第3コーナーでクラッシュしておる。

 

僕:でもさ、なんだか行けそうだね。

 

ヤマジロウ:うむ。なんとなくお好み焼きの形になってきた。さすが、タイガー魔法瓶株式会社が開発したホットプレートだな。

 

僕:うん。

 

ヤマジロウ:チーズを乗せたお好み焼きについては、うちの子供がひっくり返したいそうだ。やってもらおう。

 

僕:うん。

 

ヤマジロウ:おい、なんだこのスムーズなターンオーバーは!?

 

僕:おお!!

 

ヤマジロウ:全く無駄のない動きだ。日の出保育園の教育の賜物だな。

 

僕:うん。

 

ヤマジロウ:さて、キャベツ・ロングホーンをお好み焼きの中に収納することを忘れていたが、今のところ作業は順調だな。次は、味付けだ。

 

僕:うん。

 

ヤマジロウ:おたふくソースで良かろう。

 

僕:あ、いい匂いだね。

 

ヤマジロウ:子供達の鼻がヒクヒクしておる。

 

僕:うん。

 

ヤマジロウ:次はマヨネーズだな。ヌオォ! チューブからそのまま行ったら、何だかマヨネーズの自己主張が半端ないぞ!

 

僕:こ、今度はマヨネーズ容器を買ってこよう。

 

ヤマジロウ:次はケチャップだな。何となく、失敗の雰囲気が漂っておるが、まだ諦めてはならん!

 

僕:うん!

 

ヤマジロウ:次は海苔だな。

 

僕:あれ、なんとなく、お好み焼きっぽくなってきたね。

 

ヤマジロウ:次は、削り節だな。やはり、マヨネーズの自己主張が半端ない。食べた時の食感を想像できる。

 

僕:まあ、食べる時に広げてもらおうよ。

 

ヤマジロウ:完成だ。おい、妻を呼べ。

 

僕:うん。おお、結構、喜んでるよ。

 

ヤマジロウ:おい、子供達がすでに食べておる。とりあえず、妻と子にお好み焼きを食べてもらおう。

 

僕:すっごく喜んでるね。子供達が美味しいって言ってくれたよ。

 

ヤマジロウ:日の出保育園では社交辞令も教えているようだ。

 

僕:うん。

 

ヤマジロウ:おい、何か忘れていないか?

 

僕:え?

 

ヤマジロウ:エビだ。

 

僕:エビだね。

 

ヤマジロウ:キャベツと生地は残っているか?

 

僕:いや、あんまり。。。

 

ヤマジロウ:焼くか?

 

僕:そうだね。

 

ヤマジロウ:なんだか、エビ入りのお好み焼きなのか、お好み焼き風のエビ焼きなのか分からなくなってきたな。

 

僕:うん。

 

ヤマジロウ:とにかく、ロジカルシンキングが大切だ。我々の必勝パターンである卵トッピングの工程に移ろう。

 

僕:うん。

 

ヤマジロウ:エビの上に生卵は乗らないという絶対的宇宙真理を悟ったぞ。おい、卵を破壊せよ。

 

僕:了解。

 

ヤマジロウ:その上から、チーズを乗せて卵を固定しよう。思ったよりも見栄えがいいな。

 

僕:うん。

 

ヤマジロウ:よし、そろそろだ。ひっくり返せ。

 

僕:分かった。

 

ヤマジロウ:エビが過積載の状態だ。時限爆弾を解除するかのように慎重に作業せよ。

 

僕:了解。

 

ヤマジロウ:慎重にと言ったはずだ。

 

僕:いや、無理だって!

 

ヤマジロウ:今なら間に合う。急いで整形しろ。

 

僕:了解。

 

ヤマジロウ:やはり、マヨネーズの自己主張が半端ないが、何とかなったな。エビ焼きのようになってしまったが、プリプリしていて実に美味い。ビールよりも焼酎だろうか?

 

僕:うん、美味しい。

 

ヤマジロウ:妻や子供は満足したようだし、土曜日か日曜日の夕食は、父親がホットプレートで作るというのはどうだろう?

 

僕:そうだね。子供達が料理を楽しんでいるし、それもいいかもね。普段から妻がご飯を作ってくれているけど、大変なんだって分かった。職場で働きながら、何品もつくってくれるからね。

 

ヤマジロウ:うむ。感謝したい。さて、片付けよう。

 

僕:ごちそうさまでした。

 

ヤマジロウ:うむ。それではごきげんよう。