夫婦の会話⑧: もしかして、統計学者のエンゲルさんは子育て中に「エンゲル係数」を思いついたんじゃないか?

2015年6月28日


夫:はぁ~、やっと日曜日が終わった。。。よく聞く話だけど、子どもができると土日の方がハードだよ。さて、自分へのご褒美だ。休憩しよう。


妻:お疲れ様。おつまみ、あるわよ♪


夫:もしかして、この前みたいに「チートス 九州しょうゆ味」を10袋とかじゃないよね?


妻:え? 美味しくなかった? 通販で安かったのよ♪


夫:(い、いや、味とかじゃなくて、同じスナック菓子を連続で食べると、、、)あ、美味しかったよ。


妻:そうでしょ? クセになる美味しさって書いてあったから。今度はね、、、


夫:いや、昼間、子供達を連れて日の出地区のトイザラスに行った時に買ってきた。


妻:そうなの?


夫:うん。


妻:あ、「よっちゃん」ね。


夫:そうなんだよ。僕が子供の頃より、よっちゃんが一回り大きくなったんだね。知らなかったよ。


妻:そうね。昔は駄菓子屋さんで売ってたわ。


夫:でもさ、不思議だったんだよ。店員のお姉さんが、「ウワァ! この人、マジで買うの!?」って顔をしてたよ。


妻:あら、よっちゃんを買うだけで?


夫:うん。よっちゃんを買う人が、そんなに珍しいのかな? 味は、普通だけどね。


妻:そうねぇ。。。


夫:あの、僕はいつまでボケ続けないといけないの?そろそろツッコんでほしいんだけど。


妻:ふふふ。男の人って、そういうのが好きなんでしょ?


夫:いや、それ、一般論じゃないし。あと、普通は「キャー、あなた、何買ってきたのよー!」って驚くと思ったんだけど、相変わらずクールだよね。


妻:え? このレスポンスが普通でしょ?


夫:あ、今、不思議なことに気付いた。


妻:なーに?


夫:うちの子たちって、最近、食べる量が増えたよね。


妻:うん。前は、大人の分を取り分けていたのに、気に入ったらすごい量を食べる時があるわ♪


夫:ほら、僕の友達の三木さん家は、小学生のお子さんがいるんだけど、お寿司屋さんに行くと大変なことになるそうだよ。


妻:そうねぇ。。。小学生くらいになると、大人と同じくらい食べる子もいるわよね。


夫:うん。三木さん、ビックリしてたもん。うちも近いうちにそうなるよね。そこで気づいたんだ。


妻:ああ、分かった。エンゲル係数でしょ?


夫:うん。ほら、独身時代とかは、あんまり気にしてなかったんだけど、子供が育ってくると実感するよね。


妻:ああ、うちのエンゲル係数がどれくらいになるのかって、不思議に思ったの?


夫:違う。


妻:え?


夫:エンゲル係数を思いついたエンゲルさんのことさ!


妻:あなた、、、普通はそこじゃないわよ。


夫:でもさ、本当に不思議なんだよ。


妻:何がそんなに不思議なの?


夫:あのさ、君に、一体、エンゲルさんの何が分かるんだい?


妻:だから、エンゲル係数を発表した人でしょ? 家計の支出の中で、食費の割合がどれくらいなのかって。


夫:そうさ、エンゲルさんはドイツの統計学者だよね。食費の割合が貧富の差に関係するってことに気付いて、「エンゲルの法則」って名付けたんだよ。でも、不思議なんだよ。


妻:どうして不思議なの?


夫:色々と統計学的な裏付けをきちんとやって、法則とか係数を考えたと思うんだけどさ、人間が食べる食事の量なんて、そんなに違わないでしょ?


妻:うん。お相撲さんとかじゃなければ。


夫:所得が上がれば、食費の割合が小さくなるなんて、当然といえば当然だよね。


妻:まあね。


夫:僕が不思議に感じているのは、エンゲルさんがエンゲルの法則を思いついた時期のことなんだよ。


妻:いつ思いついたかなんて、分かるはずないじゃない。


夫:いや、たぶんなんだけどね、エンゲルさんって、子育て中に自分のお子さんがバクバク食べるようになって、「あ、食費の割合が高くなってる!」って気づいたんじゃないかと思うんだ。


妻:きゃははは! ドイツの有名な統計学者が?


夫:おい、笑うな! 真剣に考えたんだから!


妻:だって、おかしいじゃない!


夫:僕もそうだけど、保護者の多くはエンゲル係数のことを知っていても、エンゲルさんのことは何も知らないと思うんだよ。


妻:そういえばそうよね。


夫:でもさ、ほら、やっぱり同じことを考えて調べた日本人の先生がおられたみたいだよ。大切な研究成果だ。


タイトル:エルンスト・エンゲルの修業時代
著者:太田 和宏
北海学園大学経済論集, 59(3): 1-15
発刊:2011年12月30日


http://hokuga.hgu.jp/dspace/bitstream/123456789/1847/1/OHTA.pdf


夫:すっごく大切だと思うよ。

 

妻:そうねぇ。

 

夫:この論文で勉強してみよう。「エルンスト・エンゲル(1821年-1896年)はドイツの統計学者で、ドレスデンの出身。プロセイン王国の統計局長を長く務めた」って書いてあるね。

 

妻:ほんとだ。エンゲルさんってすっごくたくさんのことを研究して、発表して、日本の統計学の基礎にもなっているみたいね。

 

夫:うん。この論文で面白いのは、エンゲルさんの人生が紹介されているところだよ。

 

妻:え!? 結婚のことまで書いてあるわよ!面白い!

 

夫:うん、そうだね。エンゲルさんは、貴族とか、そういう階層の出身じゃなくて、実家はワイン酒房だったみたいだね。エンゲルさんは大学に行きたかったのに、お父さんが無理やり自分の酒場のウェイターにしちゃったそうだよ。

 

妻:かわいそう。

 

夫:僕の人生を振り返っても、親って、子供の適正とかを考えずに将来を決めようとすることがあるよね。

 

妻:あ、ご実家のお話? まだ、根に持ってるの?

 

夫:そうなんだ。うちの実家もエンゲルさんと同じで自営業だったんだけどね。僕が小学生だった頃、夕食の時に「お前は将来、この職業が向いている」って言われたんだ。

 

妻:うん。

 

夫:「お前は、将来、税務署の職員になれ。きっと出世できる」って。

 

妻:立派なお仕事でしょ?


夫:自分のお父さんが税務署に務めていたらそうかもしれないけど、小学生が、「僕は将来、税務署の職員になろうと思います!」って言うか? ほら、サッカー選手とか、お医者さんとか、、、

 

妻:それはそうね。。。


夫:うちの実家、自営業だったから税務署に行くだろ? そこに、すっごく嫌な職員がいたそうなんだよ。


妻:ふふふ。


夫:いや、別に脱税しようとしたんじゃなくて、書類のすっごく細かなことに気が付いて、サクッとやってくる感じの職員。ターゲットになったら、ものすごく調べてきて、どこまでも追いかけてくるような。で、僕にピッタリだと思ったそうなんだ。

 

妻:でも、あなたを知っている人ならピッタリのお仕事だと思うわよ。


夫:そうかな? マルサとかに進むって人生もあったのかな。


妻:で、エンゲルさんは、その後、どうしたの?


夫:うん。お父さんが亡くなって、有名な高等教育機関に入学したみたいだね。


妻:それで、頑張って、出世したのかしら。


夫:そうみたいだね。で、興味深いのが、結婚の話なんだよね。ほら、ここだよ。


妻:奥さんは3歳下なのね。


夫:うん。エンゲルさんが結婚したのは1848年、27歳の時なんだ。逆算すると、奥さんは24歳だよね。


妻:統計学者っぽいわね。きちっとしてるわ。


夫:そうなんだ。その後、二男一女を育てているんだ。子供達の誕生日までは分かんないんだけど、エンゲルさんのことだから、きちっとしてたような気がするんだよ。


妻:「いつ頃に産んで、次は、この辺で、、」とか?


夫:うん。だって、退職した後に、奥さんが一人で生活することまでを考えて、お家まで用意したような人だからね。


妻:エンゲルさんが27歳で結婚したら、うーん、2年毎で適当に見積もると、、、

 

夫:そうなんだ。29歳で1人目、31歳で2人目、33歳で3人目みたいにならないか?

 

妻:そうねぇ。。。三つ子とかって珍しいだろうし。。。

 

夫:でね、でね、でね、エンゲルさんが「エンゲル係数」を発表したのって、いつ頃だろうって思ったんだ。ほら、ここだよ。1857年なんだ。

 

妻:おいくつの頃?

 

夫:36歳。同じ時に統計局長に昇進しているよ。

 

妻:へぇ。そういう計算をしている保育園パパって、日本でも、あなただけじゃないかしら?

 

夫:こういう会話をしてる夫婦って、日本でも僕たちだけかもしれないよ。

 

妻:あれ、わたし、巻き込まれてない?

 

夫:あくまで僕の推論なんだけどね、27歳で結婚して、たくさんの子宝に恵まれたんだ。それは素敵なことだと思うんだよ。

 

妻:うん。

 

夫:で、29歳で1人目のお子さんが産まれたと仮定すると、36歳でエンゲルの法則を発表する頃には、7歳くらいになっているはずなんだ。しかも、次の子、次の子って産まれているわけでしょ? 男の子が二人なんだし。

 

妻:うん。

 

夫:たぶんなんだけど、うちと同じで、子供が大きくなるにつれて、バクバクとたくさん食べ始めたんじゃないかな?

 

妻:うーん、言われてみるとそうかもしれない。

 

夫:それで、食費の割合がどんどん増えてきて、エンゲルさんが「うわ、この子たち、マジでよく食べるよ! あれ? 食べる、、、食費が増える、、、そうだ! これは法則になるぞ!」って、なったんじゃないかな。

 

妻:エンゲルさんは、子育て中にエンゲル係数を思いついたって、なんだか説得力があるわね。。。

 

夫:だろ? だろ? だろ? なんだか、エンゲルさんに親近感がわくよ。

 

妻:でも、時期的には確かに重なるわね。。。

 

夫: それで、「アー、このままじゃ食費がかかるよー! 父ちゃん、しっかり稼ぐからなー!」って頑張って仕事をしたんじゃないかな。それで、統計局長まで出世したんだよ。

 

妻:いや、それはエンゲルさんに聞かないと分かんないわ。。。だって、あなた、出世してないでしょ?

 

夫:・・・・