夫婦の会話⑦: 奥さんのフラストレーションを察知して、夫婦喧嘩を回避することは可能なのか?

 

2015年3月8日

 

夫:あのさ、ちょっと聞きたいことがあるんだ。

 

妻:なーに? 難しいこと? 早く夕食を食べてくれない?

 

夫:あのさ、ママさんって、どうやって怒るんだい?

 

妻:はぁ!?

 

夫:ママさんの怒りのメカニズムとでも言おうかな。そう、男性が怒る時とパターンが違う気がするんだよ。

 

妻:いきなり、どうしたの?

 

夫:いや、ちょっと、大きな声で言えないことなんだ。

 

妻:なになに?

 

夫:だ、か、ら、じゃあ、耳を貸して。実は、カクカク、シカジカで。。。

 

妻:ええー!? あなたのお友達のお父さんが、奥さんと夫婦喧嘩をして叱られて、仕事帰りに自宅に戻ることができなくて困ってるですってー!?

 

夫:大きな声で言うな! 誰が聞いているか分かんないんだから! とにかく、早く答えが知りたい。

 

妻:え!? もう夜でしょ? この時間にどこにいるの?

 

夫:東西線の浦安駅のマクドナルドで、コーヒーだけ注文してポツンと座っているらしい。

 

妻:あらあら。

 

夫:だろ!? いつもと様子が違うんだ。相当に追い詰められている!

 

妻:うふふ。何とかなるわよ。

 

夫:ならない! 本当に思いつめているんだ! このままじゃ、本当に自宅に帰ることができないかもしれない!

 

妻:うちで保護する?

 

夫:そうするか? ご飯、余ってるか?

 

妻:残ってないけど、お茶漬けとかなら作れるわよ♪

 

夫:飲み会の後ならいいけど、何だか辛いな。一家の大黒柱だぞ?

 

妻:そうねぇ。。。あなたから奥さんにお電話したら?

 

夫:それも考えた。彼を連れてご自宅にお伺いして、一緒に土下座をすれば何とかなるんじゃないかと。

 

妻:うーん。でも、お子さんが見ているでしょ? トラウマになるわよ。

 

夫:そうなんだ。あ、そうだ、これから友達にメールしてみる。

 

妻:え? 閃いたのね!?

 

夫:「新浦安駅近くのマンガ喫茶がおすすめ!」っと、これで大丈夫だ。

 

妻:あなた、、、友達が1人減ったわね。

 

夫:ということで、ママさんがご主人に対してキレる間合いとでも言おうかな、キレるタイミングとか、理由を知りたいんだ。

 

妻:ちょっと、言っていることが分かんないんだけど、どういう質問?

 

夫:じゃあ、絵を描いてみるよ。

 

妻:なにこれ?


夫:子育て中の夫婦の奥さんの怒りをグラフにしてみた。


妻:元データは?


夫:全て僕のイメージ。


妻:これって、女性だけの話なの?


夫:いや、全然。男女ともにこんな感じでしょ?



夫:でもさ、パパとママで、怒る感じが違う気がするんだよ。青色は大丈夫なステージ。右側の赤で「キー!」ってなるでしょ?


妻:「キー!」ってなに? ママさんの敵が増えるわよ?


夫:で、僕が知りたいのは、その中間の黄色のステージのことなんだ。


妻:え? それはパパさんでも同じでしょ?


夫:いや、違うね。ここだけが違う。ほら、結婚して一緒に生活していると、女性のホルモンバランスの関係でイライラすることは分かっているんだ。


妻:まあ、交際している時とは違うわよね。


夫:そうさ。パパさんたちはそれくらいのことは知っているんだ。ホルモンバランスとは関係なくて、奥さんがどれくらい不満を感じていたり、怒っているかが分からない時期があると思うんだよ。


妻:ええ!?分かるでしょ? わたしに興味がないわけ?


夫:いや、そ、そんなことはないよ。でも、分からない時がある。ほら、色々な夫婦の形があるだろうけれど、最近の夫婦喧嘩って、女性が怒るところから始まると思わない?


妻:なんだか、色々なお父さんたちが「ウンウン」って、うなずいている気配を感じるわ。


夫:あははは。ほら。


妻:なんだか腹が立つわね。ディベート勝負よ。かかってきなさい。


夫:何だか、君の背中からスタンドみたいなものが見えるんだけど。


妻:さっきの夫婦喧嘩で奥さんが怒るって話。そのきっかけは何だと思う?


夫:そりゃ、普通に考えればご主人に対しての怒りさ。


妻:そう、ご主人への不満が蓄積するわけよ。


夫:さっきのグラフだと、黄色の時期だよね。僕が不思議に感じているのは、そこなんだよ。


妻:どうして?


夫:ほら、今も昔も、父親って、一家の生活の大黒柱だと思わない? 僕みたいな団塊ジュニア世代は特にそう感じるんだ。


妻:ほうほう。


夫:そりゃ、育児も家事もやるのは普通なご時世だけど、仕事で辛い時期だってあるんだよ。精神的に疲れて、もう、子どもをお風呂に入れることさえ辛い時とか。


妻:ほうほう。


夫:何だか、袈裟切りにされそうな予感がするな。


妻:言いたいことは分かったわ。夫だって仕事で辛い時があるんだから、精神的に追い詰められると、一家の生活にまで影響するってことでしょ?


夫:まあ、ぶっちゃけると、そうだよ。ほら、有名な映画だって、浦安が舞台だったじゃないか。


妻:甘いわね。甘すぎるわ。そもそも仕事に打ち込めるのは、奥さんが育児や家事で支えているからよ。


夫:なんだか、色々なお母さんたちがスタンディングオベーションで拍手をしている気配を感じるぞ。


妻:仕事が辛かったら、一日とか二日、休めばいいじゃない。でも、働いている奥さんたちは休めないでしょ? 子どもが熱を出したり、保育園に行ったりして、有給休暇が減ってきついんだから。


夫:・・・・(だめだ、この勝負、負けるかもしれない)


妻:一家の大黒柱だと思っているのなら、自分のワークライフバランスは、自分で管理しないとね♪ もう、お父さんなんだから♪


夫:だから、その辺の父親への配慮とでもいいましょうか。。。


妻:子どもが増えて、わたしたちママさんに、余裕があると思ってる? いつも崖を背にしてギリギリなのよ。


夫:ま、参りました。


妻:うふふ。でも、言いたいことは分かったわ。奥さんが思いっきりキレるんじゃなくて、さっきの黄色のゾーンで、何とかしたいということでしょ?


夫:そうなんだ。黄色のゾーンで怒りを察知して、そこから対処すれば、理論上は夫婦喧嘩は起こらないはずなんだ。

 

妻:それ、違うわ。ご主人側から理不尽に怒る時だってあるんだから。

 

夫:うん、でも、今日は奥さんの話に集中しよう。パパさんたちの参考になると思うから。

 

妻:あなたのお友達、今頃、どうしているかしら?

 

夫:今頃、コーヒーをお代わりして、思いつめた表情でスマホを握りしめているはずだ。この話で結論が出たら、メールで伝える。だから、どうしても知りたいんだ。

 

妻:ゆ、友情ね。

 

夫:彼を救うためなら42kmを走り切ってみせる!

 

妻:ロードバイクで?

 

夫:そんなことはどうでもいいんだ。ママさんがパパさんへの不満を蓄積している時、どうして、ママさんがキレるまで気付かないのか、それだけがどうしても分からないんだ。男同士の感覚と違うんだよ。

 

妻:ええ!? 分かるでしょ? わたしは普通に知らせているはずだけど?

 

夫:ええ!? いつ!? どんな時!?

 

妻:もしかして、気づいてなかった?

 

夫:いや、全然。

 

妻:驚いたわ。あなた、女心が分からないって言われるでしょ?女性同士の関係ではお互いの気持ちを「察する」ことが重要なのよ。

 

夫:察すること。なるほど、そういうことなのか。

 

妻:そうよ。女性は察することが上手なの。あなたが分からないゾーンでも、普通に分かるはずよ。

 

夫:なるほど。なるほど。男同士のコミュニケーションとは違った感じがあるのかもしれない。

 

妻:男同士でも察した方がいいでしょ? それとね、わたしの理論だと、世界中の国家元首が、全て女性だったら、、、

 

夫:え!? 首相も大統領も全て女性ってこと?

 

妻:そう、全て女性だったら、この世界から、、、

 

夫:ええ!? な、何が起こるんだい?

 

妻:戦争がなくなる。

 

夫:ええー!?

 

妻:直接的な武力衝突はなくなるわよ。「あ、あの国は今、畑の作付けの時期だから」とか「あ、あの国は、そろそろ選挙だし」とか、色々と気を遣うわ。そして、みんなで話し合うのよ。

 

夫:うん、一方的に軍事進攻なんてしようものなら、大変なことになるかもしれないし、その前に全世界に情報が伝わるかもしれない。

 

妻:軍事進攻の前にたくさんの話し合いがあるでしょうね。「ほら、みなさん、戦争をしても、色々と燃料とか弾薬も必要ですし、何より、国民が危険でしょ」とか。

 

夫:君、ノーベル平和賞を受賞できるんじゃないか?

 

妻:いらないわよ。でも、女性が国家元首なら、プライドだけで戦争はしないでしょうね。女性は現実主義だから。たぶん、各国の諜報機関がものすごく発達するでしょうけれど。

 

夫:でも、サッチャーさんとか、男勝りの強い女性政治家ってたくさんいるじゃないか。

 

妻:ああ、男性が中心の舞台なら、女性は負けないわよ。でも、女性同士なら話は違うわ。

 

夫:それは、不満が出ないということじゃなくて?

 

妻:直接的というか破壊的な対決はしないということよ。それにしても、あなた、どうして、わたしがイラッとしている時に慌てて掃除をしたりするの?

 

夫:うん、あくまでイメージなんだけれど、僕の左肩に人相の悪いネズミみたいな生物が乗っかって、コッソリと僕に囁いてくれるんだ。「ヌハハハ! お主、危険が近づいておるぞ、ヌハハハ!」って。

 

妻:すごいわね。彼、そこまで察知するのね。

 

夫:でもね、僕だけじゃないと思うんだけど、不満が蓄積していることを、きちんとママが言葉で説明してくれれば、パパだってきちんと対応できると思うんだ。

 

妻:たとえば?

 

夫:ほら、「あなた、最近、漫画本を読んでいる時間が長くない?」とか「最近、肩が凝って辛いのよ」とか「最近、飲み会が多くない?」とか「食器洗いと子どもの歯磨き、やってくれると助かるんだけど」とか「保育園用のオムツの名前を書いておいて」とか「上履きを洗っておいて」とか「もうちょっと早く帰って来てくれると助かるんだけど」とか。

 

妻:え!? そういうことに気付かないの?

 

夫:もしかして、そういうことなのか?

 

妻:そうよ、人にもよるだろうけれど、奥さんが怒りを増幅させるのは、忙しかったり、大変なのに、夫が気付かないことだと思うわ。

 

夫:パパとしては「キレる前に言ってくれよ!」

 

妻:ママとしては「キレる前に察しなさいよ!」

 

夫:も、もしかして、こ、これが、夫婦喧嘩の導火線の一つなのか?

 

妻:そうかもしれないわね。

 

夫:ほら、じゃあ、奥さんがキレる前にカウントダウンをして、ご主人に伝えるというアイデアはどうだろう? ご主人が察するように、奥さんが静かに「3、2、1」って。

 

妻:あの、あなた、それだと、子どもたちが「ズッキューン!」て叫ぶでしょ?

 

夫:そうか、じゃあ、奥さんが何か呪文のようなフレーズを口にするとか?

 

妻:呪ってどうするの?

 

夫:そうか、じゃあ、奥さんのスマホと連動して、阿部芙蓉美さんの癒しの曲が流れるってアイデアはどうだろう?

 

妻:あのね、妻にセンサーでも取り付けるわけ? だ、か、ら、察しなさいよ。

 

夫:じゃ、じゃあ、どうすればいいんだよ?

 

妻:自分なりに考えることね♪ それが、察するということよ。

 

夫:そうだなぁ、、奥さんの目を見つめて話をするとか、ちょっとしたことがあれば先回りして気遣うとか、ちょっとしたサプライズを用意するとか、出来る限り話を聞いてあげるとか。。。

 

妻:そうね。それは良いことだと思うわ。ぜひやってほしいわ。

 

夫:そうか、ホストクラブの男性がモテるのはそういうことか!?

 

妻:あなたの論理って、たまにどこかに飛ぶわよね。

 

夫:なるほど。もう一つ分かった。夫婦喧嘩を鎮静化させる時にも、察すればいいんだよね。

 

妻:そうなるわね。

 

夫:そうか、怒っている奥さんから、怒っている理由を尋ねるんじゃなくて、自分の行いを振り返って、どうして怒っているかを考えて、、、

 

妻:そうそう♪

 

夫:「これこれこういうことで怒らせたよね。ごめんね」って言えばいいのか。奥さんが口に出す前に。

 

妻:そう、それは素晴らしいわよ。

 

夫:そうか! やっと分かったぞ!それが、察するということか!

 

妻:そうよ! やれるわよね!

 

夫:いや、僕は無理だ! でも、これで友達を救うことができるぞ!

 

妻:あ。。。

 

夫:彼にメールを送ろう。

 

「妻の心を察せよ、さすれば道は開かれん」