【パパへの推薦図書】濱嘉之さんの公安警察の小説、読みましたか?

2014年12月6日

 

僕は、一時期、空いている時間のほとんどを小説を読むことに費やしていたことがありましたが、実は、ここ数年くらい、本をあまり読まなくなっていました。

 

別に読書に飽きたという訳ではないのです。歳のせいなのか何なのか分からいないのですが、、、といっても、、「あなた、趣味、作りすぎ」と妻からツッコミを受けそうですが。

 

売れっ子と言われる作家の本は、一通り読んだんです。敬称略。東野圭吾、石田衣良、百田尚樹、村上龍、村上春樹、池井戸潤、山崎豊子、伊坂幸太郎、山田詠美、宮部みゆき、宮本輝、その他、その他。たくさんの本を読んできました。

 

でも、ある時、「そうじゃないんだよ、何かこう、ワーっと血が騒ぐような、何か違うんだよ」という本が読みたくなったのです。

 

で、松崎洋さんの「走れ!T校バスケット部」を読んでみたんです。これが、なかなかの傑作で、シリーズを読破して楽しんだのですが、そろそろ四十路になって、青春物に感情移入できなくなってくるお年頃です。「やっぱり違う、僕が求めているのはそうじゃないんだ」と思ったのです。

 

で、「もう何でも試すしかない!」と思って、とうとう、三上延さんの「ビブリア古書堂の事件手帖」に手を出した訳です。これも、なかなかの傑作でした。新浦安駅前のアトレの有隣堂で、女子高生にガン見されて変な顔をされながらレジに並んだ甲斐がありました。浦安市の図書館で借りるには勇気が要りましたし。

 

ちなみに、ビブリアはドラマ化されてキャスティングが議論になりました。僕も、「うーん。主人公の篠川栞子を演じきれる女優が、現実の世界にいるのだろうか?」と悩んでしまいました。相方の五浦大輔に関しては、坂口憲二さんとか、伊藤英明さんで何とかなるんでしょうが、栞子だけは無理だろうと。。。

 

たぶん、若い頃の仲間由紀恵さんが適役だと思うのですが、栞子と仲間さんでは、思いっきり違うところがあるんです。

 

とはいえ、ビブリアを読んでも、「いや、ちがう、そうじゃない」という感がありました。というか、ビブリアとかライトノベルを家に並べておくと、妻の視線が超痛いのです。

 

違うんです。こう、男が燃えるというか、何かに立ち向かったり、闘ったり、うーん、ちょっとだけお色気が入っていたり、うーん、そんな感じのほら、昔、ニンテンドーDSのゲームの「探偵 神宮寺三郎シリーズ 」のようなハードボイルド系の男臭い物語。

 

「そうか、自分が求めていたのは、そっち系だったのか」と気づいたわけです。思い出しました。で、すぐに大沢在昌さんの「アルバイト探偵」シリーズをもう一度読んだのです。

 

すっごくシックリきました。でも、80年代が舞台なので、少々、感情移入ができません。もっと、今現在のリアルな世界に浸りたいという気持ちだったんです。

 

そう、いわゆる売れっ子作家の本を読んでいて感じていた違和感というのは、「あくまでフィクションなのだけれど、リアルでもある、そんな世界に入りたい」という渇望だったのかもしれません。

 

ある時、出張の帰り道に立ち寄った書店で、あまり見慣れない雰囲気の本が目につきました。濱嘉之さんの「警視庁情報官 シークレット・オフィサー」という本です。

 

で、立ち読みしてみると、一気にその世界観に引っ張りこまれてしまいました。引っ張りこまれたというより、自分の脳が何かに掴まれた気がしました。

 

ほら、映画とかゲームとかだと、熱中はするけれど、完全にはフィクションの世界に入り込んでいなくて、リアルな世界に踏みとどまっている感じがするじゃないですか。人にもよりますけど。

 

例外もあって、分かりやすいやつだと、ほら、ジャパニーズホラーとかは「ああ、これ、フィクションだよ♪」と思えないギリギリのところに感情を持ってかれたりもしますよね。「リング」の貞子がどうして怖いのか。マジでテレビから出てきそうなくらいリアルに感じるからだと思います。

 

で、警視庁情報官を読んで最初に思ったのが「おいおい、この本の作者さんって、何でこんなに警察に詳しいんだよ。というか、これ、仮名にしているだけで、本当のことなんじゃないの? 誰かに狙われたりしないの?」とビビりました。

 

その後、妙な昂揚感がやってきます。警察物なので、ゴールは正義を貫くことなんです。恐怖じゃないんです。そして、登場するのは、自分と同じ歳くらいの男たちなんです。もう、大興奮です。

 

僕は、警察という組織自体、何も知らなかったわけです。アンパンをかじって見張っているとか、駐禁キップを切っているとか、白バイでスピード違反を捕まえているとか、そういう、ありきたりのイメージ。もちろん、大切な役目なんだけど。

 

この小説での警察の描き方は尋常じゃないなと思いました。「へぇ、警察という組織って、こんな感じなんだ」って勉強になりました。(※ あくまで、この本は小説です)

 

あと、公安警察という世界自体が、まさに閉じられた世界ですから、一般人にとっては、もはや、フィクションなのかリアルなのかよく分からないギリギリのラインなんですよね。

 

この小説は、リアルな警察組織の実態とか、今、日本に迫っている危機などを表現しているのではないかと驚きました。

 

そして、気が付いたら、警視庁情報官シリーズのハニートラップ、トリックスター、ブラックドナー、サイバージハードのフルセットまで両手に持ってレジに並んでいました。妻に頼まれていたお土産を忘れて意気揚揚と帰宅しました。

 

作者の経歴を拝見して納得です。元警察官、しかも、高学歴のノンキャリア警官で、公安部公安総務課とか内閣官房内閣情報調査室で活躍して、何度も警視総監賞を受けて、警視にまで登りつめたような凄い方でした。

 

それにしても、濱先生って文章が上手いです。警察官って、文章が上手いんですね。え? そうじゃない? もう、警察へのイメージが思いっきり変わりました。公安警察って、スッゲー! いや、あくまでフィクションですからね。フィクション。

 

それと、単にリアルに近いという話ではなくて、濱嘉之さんは人情味のあるストーリーとか、グルメとか、観光とか、風俗にまで詳しいなぁと驚きました。

 

主人公の黒田純一は、確か、葛西の辺りに住んでいる設定で、西葛西の料理屋に通っていたりするんですが、美味しい料理とかお酒の描写がすっごく上手なんです。それと、彼が女性と出会って、交際して、将来を考えているシーンでは、「そう、独身時代って、そうなんだよ!」って感情移入できたり。

 

女性との悲しい別れがあると、「そう、そうなんだよ!」って、彼が好きなお酒、ブッカーズを飲みたくなったり。

 

学生時代、濱嘉之さんの小説が発表されていたら、間違いなく警察官を目指したと思います。

 

そして、読み終わった後は、浦安警察署のことを、なぜか「所轄」と呼んでしまったり、日の出交番の前を通り過ぎた時に、何だか気の毒な気分になったりもします。

 

で、最近は、ブログという新しい趣味ができてしまって、さらに忙しくなった僕ですが、少しずつ、濱嘉之さんの「警視庁公安部・青山望」シリーズを読み進めていたりもします。

 

こちらのシリーズは、警視庁情報官シリーズの黒田純一のような絶対的なリーダーではなくて、警察学校の同期生の4人の警部が、警視庁でもずば抜けた能力を持っていて、それぞれの分野で本領を発揮しつつ、友情を保ちながら難事件に挑むという感じです。

 

年齢層は今の保育園のお父さんくらいですかね。公安だけではなくて、捜査一課とか捜査二課とか、組対部とか、科学警察研究所、いわゆる科警研の話とかまで出てきたりして、さらに楽しめます。

 

このシリーズの政界汚染という作品で、とても心に残る文章がありました。

 

主人公の青山警部が、すごく優秀な国会議員に会って重要な情報を得て、逆に虚無感に襲われてしまったんです。自分自身が、目先のことに囚われて、大局が見えていなかったことにショックを受けて自信をなくしてしまうようなシーンです。

 

その議員が青山警部を励まします。このセリフがスッゲー感動します。所轄、いや、浦安警察署の皆さんとか、日の出交番のお巡りさんにも、グッと来るんじゃないかと思います。だって、関係のない僕ですら、ジーンときましたから。以下、241ページから引用。

 

「青ちゃん。世界の警察の中で一番優秀なのは日本なんだよ。これはどこの政財界トップも認めている。日本の円が高水準で維持できている原因も同じだ。・・・中略・・・この前提が崩れてしまったら、日本は本当に終わってしまう。その点をよく考えておいてくれ。警察を見ればその国のレベルがわかるんだ」

 

日本人で良かったと思いました。

 

そういえば、世界の警察のシステムを研究している研究者のインタビュー記事を読んだことがあります。イングリッシュジャーナルだったかな。

 

アメリカ人にとっては、「警察というのは、職業の一つでしかない」という発想の人が多いんだそうです。正義感が強い人が選択することはあるんだろうけれど、やはり、お金をもらうためのジョブなんだと。一般人から見た警察も、そういう存在なのだと。

 

でも、日本人の場合、警察という職業には、「人が人を守る」という何か特別な使命感があるんじゃないかって。そして、一般人も警察を尊敬している。そういう気持ちが、日本の警察を支えているんじゃないかって。そう、聖職の一つなんでしょうね。

 

まさに、正義の味方なんですよ。

 

でも、浦安警察署の地域課の皆さんとお話しすると、昔と今とでは、市民への接し方にも時代の波があるということもお聞きしました。色々と苦労と苦悩を重ねておられるようでした。

 

うーむ。警察のことにすごく興味が湧いてきたぞ。